異世界の湯屋へようこそ

ジブリ映画の中でも、私が特別好きで何度も見返しているのが、「千と千尋の神隠し」です。トンネルの向こう側に広がる異世界の独特の世界観に、あっという間に引き込まれてしまうこと請け合いのこの作品。冒頭で、主人公の千尋の両親が豚に変じてしまうという衝撃の展開からのスタートで、最初からもう目が離せません。また、登場するキャラクターたちも、主人公の千尋以外も格別魅力的。湯屋で働く謎の美少年・ハクに、湯屋の主である湯婆婆や、彼女の息子で巨大な赤ん坊の坊。蜘蛛のような姿の千尋の協力者・釜爺に、千尋の良き先輩であるリン、金に目がない湯屋の下働きの青蛙、それから忘れてはいけない謎の化け物カオナシ……挙げ始めるとキリがないほどですね。湯屋に現れる誰もがとびきり個性的でありながら、それこそ私たちの知っている現実を生きる人々のように活き活きとして動き回り、私たちを異世界へとするりとスムーズに誘ってくれます。そんなこの作品の一番の見どころは、やはり、数々の体験を経て、千尋が成長していくその姿なのではないかと思います。どこにでもいるフツウの女の子だった千尋が逞しく成長していく様には、思わず見惚れてしまうほど。特に、湯婆婆の双子の姉である銭婆の元へと、湯屋で騒ぎを起こし自分に危害を加えようとしたカオナシさえも伴って千尋が向かっていくシーンは、彼女が得た強さをよく表しているような気がします。また、主題歌「いつも何度でも」も、この物語にしっくりとくる名曲です。

Copyright(c) 2016   『千と千尋の神隠し』 ~トンネルの向こうは異世界でした~   All Rights Reserved.